県立柏原病院の産婦人科に、 4月から新たに常勤医が1人増員され、 3人体制になることが23日までに分かった。 神戸大学医学部附属病院で勤務し、 現在、 月に1度週末に応援に来ている医師免許取得後4年目の30歳代男性医師が着任する。 3人体制に戻るのは、 1年ぶり。 分娩休止の瀬戸際から逃れた。
同大産婦人科の山田秀人教授によると、 4月から後期研修2年目の医師4人を大学病院から1人ずつ関連病院に出し、 経験を積んでもらうという。 県立柏原以外は、 婦人科のがん治療の中核を担う県立がんセンター (明石市)、 母子センターを備え24時間体制でハイリスクな合併症妊婦を受け入れている済生会兵庫県病院 (神戸市)、 年間800分娩、 産科と婦人科をあわせ700ほどの手術を手がける東播地区の周産期センターの加古川市民病院が予定されている。
山田教授は、 「若いうちに、 柏原のような、 他に代わりがきかない地域の病院で、 患者を診ることは教育上好ましく、 また、 そういう環境で勉強をしたいという人が増えてきたと感じている。 基本的な技術を身につけ、 経験を重ねてほしい」 と話した。 さらに、 「上の先生の人間性と面倒見が良いというのが、 柏原に応援に行っている若手医師の評価。 研究にも力を入れておられ、 若い医者に学会発表の機会を与えてもらったりもした。 そういう経験もモチベーションアップになると判断した」 と述べた。
2008年3月まで3人だった同病院の産婦人科医師は、 07年、 08年と2年連続同大産婦人科医局の入局者 「ゼロ」 といった医師不足の影響で、 同年4月から上田康夫副院長 (56) と丸尾原義産婦人科部長 (51) の2人に。 「3人目」 の常勤医として同大の大学院生が、 半年、 3カ月交代で赴任していたがこれも昨年5月末で途絶えた。 それ以降も、 同大産婦人科医局の当直応援、 以前柏原病院で勤務していた医師たちの診療応援を受け、 分娩、 婦人科手術を継続してきた。
県立柏原の09年の分娩数は276 (対前年18件減)、 産科、 婦人科合わせた手術件数は206件 (同7件減) と、 常勤医が2人となった09年も、 応援医の助けで前年並みの診療実績を残した。
大西祥男院長は、 「上田先生には副院長として病院経営全般に、 丸尾先生には電子カルテの導入やがん拠点病院担当など、 診療以外にも膨大な仕事をお世話になっており、 非常に負担が大きかった。 1人増員で十分にとは言えないが、 少しでも負担が軽減されれば」 と話している。