脱官僚政治

2009.10.15
丹波春秋

 鳩山内閣発足から1カ月。成果を問うのはまだ早いが、ダムの建設中止、「温室効果ガス25%削減」の明言等々、思い切った政策を矢継ぎ早に打ち出す意欲は大いに買いたい。▼一方、公約の目玉である「脱官僚政治」については、危ういところも。前政権の補正予算案の削減と、来年度以降の予算の財源確保。いわゆる埋蔵金の掘り出しなどが進むが、結局頼りにしなければならないのは財務省。他省庁が抱え込む聖域に同省が手を突っ込むことにもなり、財務官僚はほくそえんでいるという。▼また通産省出身の官房副長官、大蔵省出身の内閣府副大臣の、2人のベテラン過去官僚議員。内情を知り抜き、実務にたけた彼らが内閣を実質的に取り仕切っているとの声もある。▼そりゃあ、いくら行政を刷新すると言っても、急にさっと変えられるわけはない。族議員と官僚の利害優先だった構造に、試行錯誤しながらでも、メスが入れられればいいのだ。▼総選挙で辛くも比例復活した中川秀直・元自民党幹事長の話を聞いた。「やる気のある有能な官僚を活用するための『幹部公務員法』を初め、どんどん議員立法をめざす」。同党が必死になって党の再生を図るのは、大いに結構。そこからこそ議会の活性化、また国民の利益優先の政治への道が開ける。(E)

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