多彩な自然体験ができる施設「丹波いちじまふぁーむ&奥丹波の森」(兵庫県丹波市市島町北奥)の敷地内で、映画館「森のシアター」が完成した。ビニールハウスの鉄筋を活用し、自然の素材を生かした手作りの映画館。地球環境を題材にした作品の上映会を開き、環境について考えるきっかけにしてもらう。
シアターは、広さ約60平方メートルで、高さ約3・5メートル。30年ほど放置していたハウスの鉄筋に銀色のシートを被せ、「銀幕」の装いにした。石膏ボードで作ったスクリーン(縦1・8メートル、横2・7メートルほど)を設置し、間伐材の焼きスギを使った手作りの座席を20席ほど用意。足元は畑の土のままで、自然に溶け込んだ映画館になっている。
作ったのは、施設代表の荻野拓司さん(70)=市島町北奥=と、同級生で、施設の活動に参画している永井直樹さん(69)=同町上垣=。
荻野さんは、自然環境をテーマにした作品を数多く制作している映画監督・白鳥哲さんが展開する「地球蘇生プロジェクト」にボランティアで参画しているメンバーから、施設の森林を整備させてほしいという依頼を受けた。「地球環境を残すため、身近な所から実践していく活動に面白さと意義を感じ」(荻野さん)、所有する山の一部を貸すことにした。
同時に、荻野さんは「せっかくなら白鳥監督の作品を来場者に見せてあげたい。上映できる場を作ろう」と考えた。「地域で過疎化が進む中、人と人とがつながる場になれば、という思いもあった」と明かす。「大工仕事が好き」という永井さんが中心となり、年末から映画館作りに乗り出した。プロジェクトメンバーも作業を手伝った。
今後、白鳥さんの作品の上映会を、メンバーが森林整備活動に訪れたタイミングなどで開く。住民が希望した作品を上映することも考えている。
荻野さんは「口で言っても伝わることには限界がある。映像を見ることで感じてもらえることがあるのでは」と話している。
◆こけら落としの上映会開催へ 監督のトークショーも
6月17、18の両日午後4―6時、こけら落としとなる上映会が開かれる。自然環境を題材にした短編ドキュメンタリー2本を上映する。入場料500円。1ドリンク付き。
野生の熊を飼育した生物環境学研究者、宮澤正義さんが自然界の循環を語る「循環」と、横浜国立大学名誉教授で、世界1700カ所で4000万本もの木を植えている宮脇昭さんにスポットライトを当てた「木を植えよ」。いずれも映画監督の白鳥哲さんがメガホンを取った。
上映会後には白鳥さんのトークショーがある。環境問題や植林活動の意義などについて語る。
同施設と、白鳥さんと共に環境保護活動を展開する「地球蘇生プロジェクト」、植林・森林間伐などを手がける宮城県石巻市のNPO法人「MAKE HAPPY」の共催。