兵庫県丹波篠山市民の男女6人でつくるハーモニカグループ「にじいろハーモニー」が、7月9日午後2時から四季の森生涯学習センター(同市網掛)で開かれる、落語家・桂む雀さん(62)=大阪市=らの音楽&トークイベント「第2回桂む雀と愉快な仲間たち」に出演する。む雀さんは、2005年に脳梗塞を発症。言語障害と右半身不随の後遺症が残ったが、再び高座に上がることを目標に障がいと闘っている。12年前からは、リハビリとして取り組んでいたハーモニカやピアノのコンサートを仲間と共に開いてきた。そんなひたむきな姿勢に感銘を受けた同グループは6年前から5度、舞台を共にしており、今回もむ雀さんから勇気をもらいながら、観客に元気と笑顔を届けようと練習に励んでいる。
にじいろ―のメンバーは、太野垣鈴子さん(55)、波部八重子さん(80)、藤本恵子さん(68)、ダウン症の波多野育子さん(27)、パーキンソン病の田中啓子さん(67)、彼女らにハーモニカを指導している久合田均さん(86)の計6人。
同イベントでは、む雀さんの友人でフリーアナウンサーの三代澤康司さん(63)、タレントの山田雅人さん(62)の3人が、笑いと感動のステージを繰り広げる中、イベントの後半にプログラムの一つとして、にじいろ―が「花は咲く」「みかんの花咲く丘」など3曲を披露。エンディングでは、む雀さんと一緒に「ふるさと」を演奏する。
久合田さんは、「共演を重ねるごとに、む雀さんの機能回復を目の当たりにして驚いている」と言い、「私たちや障がいのあるメンバーの希望にもなっている」と話す。
脳梗塞を発症し、落語家にとって命ともいえる言葉が不自由になったむ雀さん。一時は自暴自棄になったが、仲間の励ましに奮起し、プロの演奏家らと共に同市内で「フレンドシップコンサート」を開いてきた。2021年、「最終回」として臨んだ、たんば田園交響ホールでの10回目のコンサートは、コロナ禍にもかかわらず満員御礼の400人が詰めかける盛況ぶりで、終演後のアンケートで8割以上の観客が「コンサートを続けてほしい」と回答した。
「区切りがついた」とほっと一息つき、ハーモニカ、ピアノの練習が、ステージで観客に見せるためのものではなく、リハビリになっていたむ雀さんに、司会を務めていた三代澤さんが「やっぱり続けなあかんで」と熱く説得し、む雀さんも「ほな、やろか」と、新たにできた目標に向けて気持ちにスイッチを入れた。
タイトルを「フレンドシップ」から「愉快な仲間たち」に変更。昨年7月、改名第1弾として四季の森生涯学習センターで開催したところ、会場いっぱいの聴衆が詰めかけた。
今回も、三代澤さんが司会。む雀さんは童謡唱歌を中心にハーモニカとピアノ演奏を、山田さんは阪神タイガースの選手を題材とした「かたりの世界」を披露する。三代澤さんと山田さんの漫才もある。む雀さんは、「とにかく自分たちが楽しみ、お客さんも楽しませます」と微笑んでいる。
チケットは、前売り2000円、当日2500円、小学生以下・身体障害者手帳所持者1000円。全席自由。同センターなどで販売している。