古い物件「今風」に光を
古い物件のリフォーム、リノベーションを中心に手がける建築士。丹波篠山市西町にあり、国登録有形文化財に登録されている「今村家住宅」1階に入居したデザイン事務所の施工を担当するなど、特に古民家改修で高い評価を得る、気鋭の建築士だ。
丹波市春日町野瀬出身。篠山産業高校土木科を卒業後、同市内の工務店に就職。建築設計、施工管理を手がけた。西宮市で住宅展示場の営業統括を任されていた40歳の頃、父の体調悪化や子育ての負担などを考慮し、退社。友人との縁もあり、家具や家電、雑貨の買い取りなどを手がけるリサイクルショップ「三光堂」(丹波市柏原町柏原)で働くことになった。
建築現場から離れ、ショップで働く中、前職を知る顧客から建築の依頼が相次いだ。「必要としてくれる人がいる。自分がやりたいと思う建築をしよう」と一念発起。昨秋、柏原町柏原で建築デザイン事務所「アトリエ白(ハク)」を立ち上げた。
「今でも残っている建物は、木や石、土など、日本の気候風土に合った材料で造られている。リフォームも、リサイクルの延長線上にある」といい、窓や建具、梁などの素材はそのまま生かす。その上で、白を基調とした内装、照明、壁の配置などで、洗練されたデザインを実現させる。
生活にどうしても必要なもの以外を省く「引き算建築」を念頭に置く。「シンプルなデザインの家は住む人を選ばない。自由に自分の色を付けられる」
「空き家が増えている中、古いものを『今風』に生かし、脚光を浴びさせたい。柏原のまちづくり面でも何か貢献できれば」。49歳。