たまに出店“流しの料理人”
ホテルで懐石料理を担当した腕前を生かし、「丹波ハピネスマーケット」などのイベントに気まぐれで出店する“流しの料理人”。本業は会社員のため、趣味の範囲で料理を振る舞い、多くの人の舌をうならせている。
小学校時代から料理の仕事にあこがれた。家で玉子焼きを焼いたりして、家族が喜んでくれるのがうれしかったという。福知山淑徳高校の総合学科食物調理系列を卒業して調理師免許を取り、有馬グランドホテルのメイン厨房で働いた。
宿泊客用の懐石料理を担当したが、「客の顔を見ることができないので、反応が分からなかった」。朝食バイキングでは、客前で腕を振るうこともあったため、会話することが楽しみだったという。
結婚を機に帰郷し、会社員に。料理は定年後にできればと考えていたが、カフェを営む知人がイベント出店するのを手伝ったことがきっかけになり、「力試し」をしたくなったという。
「居酒屋・めし処 うたかた」の屋号で、6年ほど前に初めてイベントに出店。小懐石を振る舞ったが、1人で客をさばききることができず、「自分の力量が分かった」と笑う。以来、目の前の人を喜ばせるという、子どもの頃に抱いた初心に立ち返っている。
メニューはその時々で異なるが、だし巻き卵や豚の角煮など、いわゆる“アテ”を振る舞う。梅と大葉が香る「懇ろ塩梅らぁめん」、ほっこりした味の「香ばし揚げおむすびの吹き寄せ餡かけ」など、料理人の腕を存分に振るった一品も人気。
「その場で作るライブ感を大事にしている。これからも“気まぐれ”で出店します」。37歳。