サッカー選手から農業に転身 矢澤貴文さん(西宮市)

2023.07.23
たんばのひと

矢澤貴文さん

経験と若さ武器に事業展開

丹波篠山市内有数の大規模農業会社「アグリヘルシーファーム」(同市味間奥)の社員。元プロサッカー選手という異色の経歴を持つ。現場での農作業だけでなく、新事業の立案も任されている。担い手不足が深刻な農業を「伸びしろがある」と強調。自身の経験と、若い力を武器に新事業の展開に力を注いでいる。

幼い頃からサッカー一筋。滝川第二高校、びわこ成蹊スポーツ大学を経て、ドイツ下部リーグのチームに入団し、1年間プレーした。帰国後、和歌山の社会人クラブチームで4年間活躍したが、27歳で「やり切った」と引退した。

父から勧められた1次産業に絞ってセカンドキャリアを模索する中、農業にたどり着いた。「若手が入ればもっと面白くなるのでは」。同社の原智宏社長が学生時代にサッカーをしていた縁もあり、入社した。

現在4年目。任されているのがキッチンカー事業だ。塩分過多なコンビニ食で済ませがちな子どものスポーツイベント会場に出向き、同社で生産した米や、地元産野菜を使った栄養豊富なおにぎりを販売し、「食育」につなげる。栄養士からアドバイスを受けながらメニューの試行錯誤を重ねている。

丹波篠山市、神戸市の20―30代の就農者4人で、就農希望者に向け、自分たちの経験を伝えたり、相談に乗ったりする「窓口会社」も設立予定だ。「農業に興味があっても最初に何をしたら良いか分からず、諦めてしまう人も多い。『一歩目』をサポートしたい」

「『農業×○○』の掛け合わせ方に正解はないし、可能性しかない。農業はなくてはならない。魅力を発信し続けていきたい」。31歳。

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