歴史が好きな兵庫県丹波市立竹田小学校2年の常石結心さんが夏休みの工作課題として、塩ビ板などで精巧な甲冑を制作した。制作歴約30年のベテラン、時本昭男さん(81)=同県丹波篠山市=に指導を受け、1900カ所の穴にひもを通すなどの細かな作業にのめり込み、およそ1カ月半かけて完成させた。常石さんは「完成して良かった。かっこいい」と満足げな表情を浮かべる。
自身が着られるサイズの大よろいとかぶとを制作した。主な材料は塩ビ板で、黒を基調に、赤とオレンジ色のひもが目を引くデザインに仕上げた。時本さんがあらかじめ開けておいた穴に、長さを調整しながらひもを通していき、ボンドで固定する作業に没頭した。
かぶとは作業用ヘルメットをスプレーで塗りつぶし、前立物の「鍬形」は、スプレーで金色に塗装したプラスチック板を三日月状に切った。鍬形の間には、徳川、織田、常石などの各家の家紋を印刷した丸いプラ板を「その日の気分で」挟めるようにした。軍配は、スプレーを塗ったプラ板を切って形作り、持ち手として木の棒を取り付けた。
2歳の頃から祖父・明男さん(67)の影響で時代劇「暴れん坊将軍」を見るうち、劇中に登場する城も次第に好きになった。関西各地の城へ足を運び、御城印も集めるようになった。
篠山城大書院(丹波篠山市北新町)を訪れた際、時本さんが制作した本格的な甲冑が展示されていた。「かっこいい」と“ひと目ぼれ”。その上に手作りということを知り、創作意欲が湧いた。時本さんと連絡を取り、作り方を教えてもらえることになった。
材料は時本さんが用意。定期的に時本さんを訪ね、ひもの通し方などのアドバイスを受けた。時本さんは「ひもを通す作業は根気がいる。小学生であそこまでのものができるとは」と舌を巻き、「甲冑に関心を持ってもらえることはうれしい」と話した。
常石さんは「完成した甲冑を着て、篠山城や福知山城(京都府福知山市)を歩いてみたい。腕やすね当てとか、他のパーツも作ってみたい」とはにかんだ。将来の夢は「瓦職人」という。