江戸幕府の第3代将軍・徳川家光の乳母を務めた、兵庫県丹波市春日町生まれとされる「春日局」の菩提寺、麟祥院(東京都文京区)が、丹波市産のクリ材を使った木札を作った。春日局が泣き虫だった幼少期の家光に唱え、鼓舞したと伝わる縁起の良い言葉「智仁武勇 ちちんぷいぷい 御代の御宝」をあしらった。
寄席文字・江戸文字書家の橘右之吉さんが揮ごう。ひも付きで、温かみのあるクリ材の木札(長さ約5センチ)に、筆太な文字が力強く浮かぶ。
智仁武勇の「智」は思考力、「仁」は思いやりや優しさ、「武」は行動力、「勇」は誠実、正直などの意味が込められている。春日局が、この言葉を「一生の宝」として家光を育てた逸話が庶民に伝わり、次第に「ちちんぷいぷい」に変化して広まったとされる。
同院の矢野宗欽住職(51)と橘さんが「春日局を知ってほしい」と発案。せっかくならゆかりのある丹波の木材を使おうと、春日局が縁で以前からつながりのある、株式会社やながわ(丹波市春日町)の柳川拓三社長(69)を介し、製材業を営む会社「イクジウッド」(同市青垣町)に手配してもらった。
同院で600円で販売している。柳川社長は「導かれるように良縁が広がっている」と話している。