子育て世代呼び込み集落の文化継承図る 澤山伊知郎さん(丹波篠山市)

2024.03.31
たんばのひと

澤山伊知郎さん

木工教室で過疎打開を

丹波篠山市の定住促進スローガン「住もう帰ろう」運動にちなんだ木彫のカエルを製作。集落の2カ所に2体ずつ置き、4月3日まで開催のひなまつりを盛り上げている。

篠山鳳鳴高出身。名古屋の健康食品会社で営業を担当。その後、視野を広めようと渡米し、ニューヨークで5年間、日本人観光客にガイドしながら宝石を販売した。「宝石商はユダヤ人が多く、迫害の歴史から宝石を自分の身を守る手段としてきた歴史を知り、日本は平和で良い国だなと感じた」

妻の実家、北海道名寄市に移住。百貨店で呉服の外商を担当した。「商売の極意は仕入れ。生産の原価を緻密に計算し、問屋をもうけさせながら、安価で良質な商品をお客さまに提供する」ことを学んだ。

実家の両親が高齢となり、恩返しにと帰郷。ヘルパーの資格を取得し、料理も作り、懸命に世話した。父は92歳、母は94歳で亡くなったが、「両親が生きているうちに帰郷できて良かった」と振り返る。

帰郷後、村に溶け込むよう努めた。自治会副会長を4年務め、自治会長は今年3年目。「市内で最も高齢化している自治会。村の文化をどう継承していくかが課題。子育て世代を呼び込み、その子どもたちが文化を引き継ぐことが大切」

3人の子どもを含む2世帯が都市部から移住。「里山を通して自発的な子どもを育む『里学』が必要」と、地域おこし協力隊で移住者の加藤俊希さんと昨年3月から、「市野々技塾・こども木工教室」を開講。「移住、定住促進に努め、村に新しい産業を起こしたい」

木工教室は月1回。澤山さん(070・1767・0500)。73歳。

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