織田信包

2010.09.15
丹波春秋

 「江(ごう)」が来年のNHK大河ドラマになる機会に、江と関わりのあった柏原初代藩主、織田信包(のぶかね)を顕彰する会が発足した。信長の弟、信包は妹お市の方の亡き後、その3人娘、茶々、初、江の後見役となった。▼信長の天下平定に当たっては片腕となり、3姉妹を秀吉の側室(淀殿)や徳川2代将軍の正室となり得るほどに育て上げた人物だが、その割には世間には知られていない。▼信長の後を継いだ秀吉にずけずけとものを言ったために煙たがられ、かつて津15万石城主だったのが柏原にまで遷されてしまったせいか、歴史家や小説家の目にとまることは少ないらしい。彼を本格的に取り上げたのは、江を主人公にして一昨年出た「美女いくさ」(諸田玲子)が初めてと言ってよい。▼しかしその生涯については資料が乏しくまだまだ謎に包まれた面が多い。晩年は淀殿の相談役として大坂城に住んだようだが、小和田哲男・静岡大名誉教授によると、実際に柏原に来た形跡はないともいう。▼地元の歴史に詳しいTさんが膝元の崇広小の課外授業で話をした際、「『のぶかね』って誰?聞いたことがない」という子供たちの反応にショックを受けたそうだが、柏原藩外だった所が多い丹波市内では、なおさらそうだろう。顕彰会のなすべきことは相当多そうだ。(E)

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