来年度から単位制導入へ 「全校にSTEAMを」 篠山鳳鳴高、授業選択の幅広げる

2024.06.13
地域注目

25年度から単位制が導入される篠山鳳鳴高校。今年度からSTEAM探究科がスタートしている=兵庫県丹波篠山市大熊で

今年度から新たに単位制の「STEAM(スティーム)探究科」がスタートした兵庫県立篠山鳳鳴高校(同県丹波篠山市)に、2025年度の新入生から順次、他学科でも「単位制」が導入される。大学ほどの自由度はないものの、自分の興味や関心に合わせて履修科目を決めることができる。最先端技術を活用しながら、これからの時代に適した学びが得られるよう改革を進めており、単位制の導入で同科以外の生徒もSTEAMを生かした授業が受けられるようになる。26年度に創立150周年を迎え、151年目には全学年単位制の学校としてリスタート。県内随一の伝統校が変革を遂げようとしている。

25年度は1年生が単位制になり、3年かけて全学年に導入される。

1年の区切りの中で取得すべき単位数を取得できなければ留年する「学年制」と違い、単位制は3年間で必要な単位数を取得できれば卒業できる制度で、基本的に留年がなくなる。

生徒の興味や関心に合わせて科目を選択でき、一部、学年や学科を超えて科目を選べる。

横断的に選択できる「学校設定科目」として「ライフデザイン」(家庭+理科+公民+情報など)や、「フィジカル科学」(体育+理科+情報など)などの要素を取り入れた授業を導入する予定。さまざまな科目の内容を融合させながら、データ分析なども用いる最新の学びを提供する。科目の追加で教員数も増える見込み。

進学を目指す場合、入学に必要な科目が指定されている場合があるため、全てが自由ではないものの、これまでよりも選択の幅が広がるほか、ドローンやVR(バーチャルリアリティー)ゴーグル、3Dプリンター、人工知能(AI)など、最新の技術と科目を横断して学び、課題解決能力や創造力を育むSTEAM探究科の学びを全校に広げる。

1年時は取得が必要な科目が多いため、自由度が広がるのは2、3年からという。

県教育委員会の学校教育改革の中で、学校全体でSTEAMを推進する高校は、単位制に改編することが可能とされていた。

樋口一哉校長は、「人口減、高齢化など急激な変化が訪れる時代に活躍できる人材は、STEAMを使いながら課題解決をできる人。単位制によって探究科以外にもSTEAMを広げたい」と言い、生徒数の減少が課題になる中で、「これからのことを考えて〝種〟を植えるため、STEAMを導入したので、今後が非常に楽しみ。中学校への訪問やオープンハイスクールなどで良さを伝えていきたい」と意気込んでいる。

STEAM 科学、技術、工学、芸術、数学―それぞれの英単語の頭文字から。各分野の学びを融合させ、技術革新が進み、人工知能が発達するなど、今後の社会に順応した人材を育む最先端の教育方針。さまざまな体験を通して生徒の「探究心」を刺激し、自ら学ぶ意識を芽生えさせる。丹波地域を含めた第2学区でSTEAM探究科を置いているのは篠山鳳鳴のみ。

関連記事