兵庫県丹波篠山市住吉台の養蜂業、横関進さん(67)は耕作放棄地を活用し、上品な味わいのハチミツが採取できるとされるヘアリーベッチなどの花を育てながらミツバチを飼育している。ダニの駆除剤などを使わない無農薬飼育で、採蜜したままの、非加熱、無添加の「生ハチミツ」を提供している。これまでネット販売のみだったが、今年3月、同市味間奥に養蜂場を設けて生産力をアップさせ、市販にも乗り出した。横関さんによると、養蜂家が花も育てているのは珍しいという。「花栽培もする養蜂を通じて、丹波篠山の豊かな自然を伝え、里山の風景を残せたら」と話している。
生き物が好きで、50歳代から自宅庭で巣箱を置き、採蜜を楽しんでいた。公務員を定年後、本格的に養蜂を始めようと、「株式会社自然楽社」(同市福住)を立ち上げ、新荘の耕作放棄地約30アールに巣箱6基を設置し、草抑えにもなるマメ科の蜜源植物、ヘアリーベッチとクローバーを育てた。
3年目には同市岩崎で20アール、今年3月には味間奥で20アールを養蜂場にし、それぞれ6箱置いている。採蜜時期は春―秋で、1箱約30キロのハチミツが採れ、今期は計540キロが採れる体制になった。
農水省によると、国産ハチミツの流通量は約5%。中でも花の香りやハチミツの栄養分が失われない、無添加、非加熱の生ハチミツは希少。さらに、巣箱の中にダニの駆除剤を仕掛けるのが一般的だが、横関さんは、ダニが好むオスバチの幼虫専用の巣板を設けてダニを誘引し、その板を取り除く方法を採用している。
横関さんは「自然の甘味を味わって。蜜の味が時期や場所によって違い、その移ろいを楽しんでいただければ」と話している。
JA味土里館(同市東吹)で販売。古民家猫カフェ「まめ猫」(同市南新町)、フタバカフェ(同市八上内)では試食もできる。
180グラム1500円、280グラム2100円、500グラム3600円の3種類。ネット購入は同社ホームページから。