県立人と自然の博物館は9月30日、 県立丹波並木道中央公園 (篠山市西古佐) 内の白亜紀前期 (約1億4500万年―9960万年前) の地層 「篠山層群下部層」 (約1億1000万年前) から、 極めて保存状態の良好な▽2種類の恐竜の足骨やろっ骨▽小型脊椎動物の骨片▽トカゲ類の部分骨格―の化石が見つかったと発表した。 ここからは今年7月、 鳥に近縁な恐竜 「デイノニコサウルス類」 の前足骨格化石が見つかっている。 発見された化石は、 10月30日まで同博物館で一般公開されている。
化石発見場所は、 同公園管理棟から南西の法面直下の約280平方メートルの台地で、 同公園の造成工事の残土 (岩塊) を埋め戻して整地した場所。
発見された2種類の恐竜化石は、 「デイノニコサウルス類」 と 「基盤的 (原始的な種) ネオケラトプス類」。
デイノニコサウルス類のものは、 左後足の脛 (けい) 骨、 腓 (ひ) 骨、 第4・5中足骨で、 人の部位に当てはめると、 すねから足の甲にかけての部分。 足首の関節はつながっており、 すねにあたる脛骨の大きさは、 長さ約6・4センチ、 直径約1センチ。
ネオケラトプス類のものは、 前あご骨、 大腿骨、 ろっ骨、 胴椎 (背骨の一部)。 ろっ骨の大きさは、 大きなもので長さ約5センチ、 直径約0・7センチ。 これらから、 両者の全長は1メートル前後と推測される。
今回発見されたデイノニコサウルス類は、 今年7月に同公園で発見した同類と同一個体とみられている。 また、 昨年同所から採取した岩塊をクリーニングした結果、 ネオケラトプス類のろっ骨と胴椎が含まれていたことが判明。 それと今回発見の物とは別個体であることから、 この場所には、 デイノニコサウルス類1個体とネオケラトプス類2個体が埋まっていたことになる。
ネオケラトプス類は、 一昨年、 篠山市宮田から国内初の発見として発表されたトリケラトプスに代表される角竜類。 今回発見した前あご骨は宮田で産出したものと酷似していることから、 同一種である可能性が大きいとし、 国内初に続く発見となった。
同博物館の三枝春生主任研究員は、 「関節部分が残り、 骨の各部位もへしゃげることなく立体的。 これだけ保存状態の良い産地は、 国内では例がない」 と驚き、 「これらの化石すべてが、 公園の造成工事で生じたものであり、 篠山層群下部層に由来するもの。 よって、 ここには化石の密集層が存在する可能性が大きいことを示している」 と話し、 今後の発見に期待を膨らませている。
写真・今回の調査で発見されたデイノニコサウルス類の左後足の一部。上部が脛骨で、下部が第4・5中足骨。足首の関節が残っており、保存状態の良さがうかがえる
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