養護施設などに現れ、匿名で寄付をする「タイガーマスク」。自らの善意を誇る自己陶酔と皮肉る向きがないわけではないが、メディアの伝えるところによると、おおむね好意的に受け止められているようだ。▼さまざまな事情から家庭で暮らすことが難しい子どもたちが生活している児童養護施設。そんな子どもたちに差し出された善意。そこに、人と人とがつながる姿を見ることからタイガーマスクが世間に歓迎されているのだろう。▼「自分は自分、他人は他人」と割り切る風潮が強く、人の絆が断ち切られた時代。そんな殺風景な世相をもどかしく思い、社会の行く末に不安すら感じる人々も多くいるに違いない。つながりの分断が進めば進むほど、その反作用として、つながりの再興を求める空気も出てくる。タイガーマスクは、その空気に即したから、温かいニュースとして歓迎された。▼つながりと言えば、味間小学校の児童の提案を行政が受け入れたこともそうだ。「地元のお茶の消費を増やして」という児童の提言を受け、篠山市は、市主催の行事や会議などで出すお茶を地元産のものにするという。▼地域のことを考える子どもたちの思いや願いが、行政に反映された。子どもと行政という相異なる世界がつながった。これも温かいニュースだった。(Y)