国内唯一の自転車タイヤ専業メーカー、パナレーサー(兵庫県丹波市氷上町石生、大和竜一社長)を紹介する絵本が出版された。大和社長(60)が考えた文に、イラストが添えられた22ページ。分かりやすく活動を伝えたいと、出版に協力した。「書店に、自分が働く会社の絵本があるのは社員や家族にとって驚きがある。短く文をまとめるのは非常に難しかった」と話している。
「生きる道、ここにあり~日本でたった一つの、自転車タイヤ製造専業メーカーの挑戦~」(三恵社発行、税込み2200円)。「ビジネス絵本」ジャンル。
地方の小さな自転車タイヤ製造会社が「生きる道」を見つけ出して世界で戦い、ロードバイクタイヤの日本トップシェア企業になる物語。大和社長が実際に手がけた会社改革と販売戦略を端的に紹介している。
編集者から絵本出版を手がける三恵社(本社・名古屋市)を紹介された。パナレーサーは、自転車に興味の薄い人に知ってもらう機会にしようと協力した。ライターが取材に訪れ、イラストレーターが写真を参考にイラストを描いた。
文字数に制約があり、「言葉一つ、文字一つに意味を持たすのが難しかった。伝えたいことが、この文字数で伝わるのか悩んだ。会社の取り組みを分かりやすく、視覚で直感的に理解してもらおうと挑戦したが、本を書く方が楽だった」と大和社長。
一方、「どこの社も歯を食いしばって事業をやっている。やりようでチャンスはある。こういう生き方もあるんだということを、他の業界の方に知ってもらえる機会になれば」と話している。
全国の書店で購入できる。丹波市立図書館、市内の学校に献本した。
同社は1952年創立、従業員数131人。近年開発した、ロードタイヤ「アジリスト」、砂利道を走るグラベル用タイヤ「グラベルキング」を生産の柱に育てた。