大正デモクラシー

2011.02.23
丹波春秋

 今年は大正の年号で通すと100年目になることから、毎日新聞が「大正100年 歴史に探る日本の針路」という月1回の連載特集を始めている。今年が「昭和86年」という風に、昭和換算で考える癖がついている春秋子も、大正100年とは思い及ばなかった。▼さて、先19日号のテーマは「大正デモクラシー」。きちんと説明できる人は少なかろうが、記事によると、日露戦争終結の明治38年から満州事変の昭和6年頃、つまり大正時代を中心に、比較的平和だった「戦間期」の時代風潮を指すらしい。▼結構自由にものも言えたようで、春秋子も、大正14年の丹陽新聞(小紙の前身)社説に「自由と個性を尊重しなければならない教育が、規制的で個性無視の軍事教育で破壊されている」という文面を見つけ、「軍事費と兵役が農村を疲弊させている」とまで言い切っているのに驚いたことがある。▼しかしながら、2大政党による体制が発足したものの、足の引っ張り合いで政局は極めて不安定。民意離れにより、やがて軍部の暴走を許す道を開いた。ちょうどドイツでは帝政を倒して成立したワイマール共和国が民主化の期待とは裏腹に不安定な政権を続け、ヒトラーの出現を招くに至った時期に重なる。▼この時代から現在の日本を考える意義は確かにありそうだ。(E)

 

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