支援

2011.03.24
丹波春秋

 朝目が覚めたら、暖かいふとんにくるまっている。トイレにゆったり入れる。蛇口をひねると水がほとばしり出る。当たり前で何とも思わなかったことが、すごくありがたく感じられる。▼原発の避難地域に取り残され、電気も暖房もなく食料さえ底をついた特養老人ホームで介護職員たちが懸命に働いている姿に胸を打たれた。「ただ、普通の生活をしたい。それだけです」と話す避難所の人たちの顔を、16年前の自分と重ね合わせた読者も少なくなかったろう。いや、あの画面には、明日は自分が写っているかもしれないのだ。▼被災地の様子は世界中の人々の心を揺り動かしている。「私たちは日本の皆さまと共にいます」と日本語で書いた巨大な横断幕が欧州のサッカー試合で掲げられている新聞写真が目をひいた。筆者にもベトナムの日本語学生から「お金はないけれど、鶴を折って日本人の精神を支援します」とメールが来た。▼資源は乏しい日本だけれど、いざとなれば互いに助け合う人々の資質。時に牙は向いても普段は美しい自然。それにはぐくまれた文化。これがある限り、日本はきっと復活できる。▼それを確信しつつ、全国で被災者の受け入れを進める時が来た。兵庫県も県内の市町も色々計画していると伝えられるが、大切なのは住民の支援体制だ。(E)

 

関連記事