兵庫県丹波市氷上町中央地区のそば打ちグループ「BEE夢クラブ」(三崎浩代表、7人)が月に1度、ひかみ成松交流館で地元住民向けに提供し、人気を集めている「ふれあい蕎麦」。昨今の物価高の影響を受け、今月から手打ちそばを100円値上げする。メンバーは「心苦しい」と口にするが、それでも400円。年金暮らしの高齢者の懐に優しく、おいしい。利用者は、28日が来るのを今から楽しみにしている。
5年前からそば粉8割、つなぎの小麦粉2割の手打ち「二八そば」を、28日に40食程度提供している。
格安で提供できるのは、そばを自家栽培しているからだ。今年のそばは、氷上町常楽産。営利目的でない住民交流の場にと、同地区自治振興会が応援し、会場使用料と光熱水費がかからない。ネギはメンバーの畑で取れた物を持ち寄る。割りばし、麺つゆは購入しているが、これまで出費は「しれていた」という。
メンバー6人が男性で、最年少が73歳の松本義明さん。5人は後期高齢者。長く活動を続けるための負担軽減にと最近、自家製粉をやめて外注したことで、新たな経費が生じた。そば種子が値上がりし、安くしてもらっている農機借用のお礼ももう少し支払いたいと、値上げに踏み切った。
「1度に33%も値上げできない。50円で抑えよう」との慎重意見と、「諸々物価が上がっている。50円ずつ刻むより、この際100円アップを」とメンバー間で値上げ幅を巡る議論を重ねたという。
そば打ち担当の吉積登さん(77)は、「値上げの影響で、お客さんが減るかもしれない。食数を減らすか」、ゆで担当の中辻義夫さん(75)は、「3月から100円分おいしくなるよ」と冗談を言い合う。
最後の「300円」提供の2月28日も、30人ほどの開店待ちの行列ができた。歩いてやって来る近所のお年寄りがほとんどだ。
値上げの事情を説明する三崎代表(78)に、常連客らは、「おいしいし、400円でも安い。来月も必ず来ます」「毎月、楽しみ」と、不満ではなく、感謝の言葉をかけた。三崎代表は、笑顔で「ありがとうございます」と応じ、月に1度の“ご愛顧”に感謝していた。