「農友会」

2011.04.02
丹波春秋

 「農友会」という団体が解散した。かつて「少年農兵隊」として働いた丹波市内の元隊員たちでつくる団体だ。少年農兵隊。といっても、知っている人は少なかろう。戦時中、農地開墾や食糧増産に従事した14、15歳の少年たちのことをいう。▼多くの男性が村を離れた太平洋戦争末期。労働力不足になった村を救うため、1944年から少年農兵隊が組織された。この年は全国で3万人、翌年は9万人が少年農兵隊に入った。45年2月、丹波市内では96人が入隊した。▼多可郡にあった兵舎に入り、3カ月間の訓練を受けた。屋根のすき間から星が見えるような兵舎。大雨の日は、ふとんが濡れたが、そのまま寝た。食事の味噌汁は、味噌ではなく塩で味付けた汁。使い古した竹の食器は、その汁すら漏れ出た。「日本魂」と書かれた棒を持った教官から尻を叩かれることもしばしばだった。▼訓練を終えると、野原を畑に開墾したり、ため池や水路をつくる作業に出た。十分に栄養も摂れないなかで、汗みどろになって働いた。▼当時、10歳代だった隊員たちも今では80歳代。毎年開いていた交流会の参加者も減ったため、「農友会」は解散となった。少年農兵隊という存在を知る人は今後、ますます少なくなるだろうが、語り継ぎたいもうひとつの兵隊である。(Y)

 

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