山の芋栽培農家 小島昌大さん(丹波篠山市)

2025.05.25
たんばのひと

小島昌大さん

山の芋“仲間”増えて

伊丹市出身で、祖父が残し、父が継いだ丹波篠山市般若寺の農地を継承。「Kurumi Farm(クルミファーム)」の屋号で、妻の智花さん(27)と共に水稲や黒豆、山の芋、大納言小豆を生産する。特に山の芋は高齢化により年々生産量が減少している中、特産の維持に期待がかかる市内最年少の作り手。栽培面積は今年度、これまでの2・7倍となる約17アールに拡大中で、「減っているからこそ作る価値がある。何よりおいしくて、自分が好きだから」とはにかむ。

大学を卒業後、ホームセンターに就職。休日などに丹波篠山で農地を継いでいた父、正史さん(65)を手伝ううち、「自分だったらこうしたい」というビジョンが芽生え、農業の可能性と面白さに気づいた。一念発起して退職。「まずは勉強」と、滋賀県の農業法人に就職し、厳しい“修業”をへて、3年前に独立を果たした。

安定した職を捨てての転身に、智花さんは、「正直不安もあった。でも、昔から仕事に対しては真剣。そこは信じているし、『やりたいならやったらいい』と」と苦笑する。

そこから持ち前の行動力と研究意欲、インターネットも駆使した販売の工夫などで着実に成果を上げている。

誰にでも山の芋の栽培方法を伝えに走る。「このままでは近い将来、栽培する人がいなくなる。孤独は嫌いなので、仲間が増えてほしいという思いですね」

直近の目標は法人化。将来の夢は家を建てて、家族で安定した生活を送ること。それと、「担い手になってくれる可能性がある子どもたちに、山の芋のおいしさや農業の楽しさを伝えていきたい」。35歳。

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