丹波市立植野記念美術館学芸員 永山宗史さん(丹波市)

2025.06.22
たんばのひと

永山宗史さん

作家を埋もれさせない

2021年から丹波市立植野記念美術館(氷上町西中)の学芸員として展覧会の企画や作品の展示作業、作品紹介のギャラリートークを担当するほか、市内に点在する個人所有の作品調査にあたる。西洋近代美術を専門とし、3年先まで見据えた展示企画を練る。

大阪府高槻市出身。自然や動物が好きで、水族館の学芸員になることが夢だった。学芸員の資格が取得できる同志社大学文学部美学芸術学科に進学。学びを進める中で、自身の中で美術への関心が高まったという。

「本物の美術に触れたい」と、3年時にスイスに半年間留学。町の美術館に名画がある環境で過ごし、国境を接するフランスのルーブルやオルセー美術館などにも足を運んだ。

とりわけ感銘を受けたのは、ジャック=ルイ・ダヴィッド作「ナポレオンの戴冠式」。ナポレオンの偉大さを伝えるという、絵画に込められた政治的メッセージに「美術の役割について考えさせられた」。

大阪大学大学院文学研究科に進み、ゴッホの研究者として著名な西洋美術史学者、圀府寺司さんに師事。本格的に西洋美術を学んだ。ポーランドへの留学も果たし、ヨーロッパの歴史や美術を研究。インターンシップとして、同国の国立博物館で英語、フランス語によるギャラリートークを経験した。

「有能な人はたくさんいても、その才能を見出せる人物は少ない」という意味の故事成語「千里の馬は常に有れども伯楽は常には有らず」を胸に刻んでいる。「立派な作家を埋もれさせず、世に紹介できる学芸員になりたい。現役作家も取り上げ、新しい企画ができれば」。29歳。

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