丹波篠山市森林戦略担当官 金山俊作さん(丹波篠山市)

2025.07.13
たんばのひと

山と人の“絆”結び直す

獣医師、元農水省職員、元丹波篠山市地域おこし協力隊員という肩書を持ち、今年度から森林戦略担当官に就任。山林について悩む市民とともに、どのような山にし、管理していくかなどの「戦略」を練る。放置山林の増加や獣害の悪化などが叫ばれる昨今。失われた山と人の絆を結び直し、野生動物との共生につなげる。

所有者からの相談に応じ、森林組合や林業家とマッチング。行政の補助メニューなども提示しながら、あるべき山の姿へと整備を進める。「山を何に使うのか。整備を通して山との関係をつくり直していきたい」

その構造など「人知の及ばないシステム」を持った生物に関心を持ち、岩手大を経て獣医師免許を取得。農水省では鳥インフルエンザや豚熱などの封じ込めに奔走した。「キリンやカバの検疫ができると思っていたのに、ほとんど霞が関でした」

その中で思った。「人が山に入らなくなり、動物の生息密度が高くなったことも伝染病が広がる原因。山をなんとかすることが、人も動物も環境も健康になる〝ワンヘルス〟につながる」。縦割りの省庁ではなく、民間で活動しようと退職した。

その後、「肩書きがある方が良い」と協力隊員に。野生動物を解剖する実習施設「野生鳥獣研究所『けものら』」(同市遠方)も立ち上げた。担当官を志したのは行政のマンパワー不足も理由の一つ。職員が手いっぱいになると施策を練る余力がなくなるので、少しでもお手伝いができれば。まずはモデルケースを作る」と気合を入れる。

41歳、3児の父。共に子育てに奮闘する幼なじみの妻には「感謝しかありません」。三田市出身。

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