戦後80年の今年、戦争の悲惨さや平和の大切さを訴えるため、兵庫県丹波市内の女性3人が戦争に関連した絵本や証言集、文学作品を朗読して広く伝える会「大紫(おおむらさき)」を立ち上げた。毎夏、地域FM「805たんば」(80・5メガヘルツ)で放送し、語り継ぐべき証言や、先人が築き上げた平和の尊さを伝えていく。今夏は2回分を収録しており、8、9月に放送する。夏以外は、地域に出向いて絵本にちなんだ催しを開き、朗読をしたり、参加者がお気に入りの絵本を紹介し合ったりと、参加型のイベントを企画する。
収録1回目分の放送を13日(再放送9月3日)に終えており、同2回目分が20日(同27日、9月10日)。いずれも正午から。
元図書館司書で、丹波篠山市立中央図書館の図書館ビジョン策定に携わった西野裕子(ひろこ)さん(67)=丹波市柏原町北中=が呼びかけ人。過去に同図書館で図書館司書を務め、805たんばで番組を持つ細見尚美さん(68)=同市春日町栢野=、絵本に関する高度な知識、技能、感性を備えた専門家「絵本専門士」の前川往代さん(48)=同市山南町前川=がメンバー。
戦争に関する朗読は、毎年7―9月に805たんばで収録放送する。戦争の体験者による証言集や被爆体験集、絵本や文学作品などから選ぶ。
静岡県などで長く図書館司書を務めた西野さんは過去に、原爆体験者の手記による朗読劇「この子たちの夏」の上演に携わった。戦後80年の今年、丹波市でも戦争に関連した朗読活動ができないかと、旧知の細見さんに相談。細見さんは同FMで絵本の紹介番組「のんびり歩いて絵本散歩」を持ち、夏には戦争や平和に関する本を紹介していたため、805たんばとつながりができた。
昨年、丹波新聞の「ひと」コーナーで前川さんが紹介され、コンタクトを取った西野さん。前川さんは認定こども園わだの園長で、未就園の親子向けに「おはなし会」をするなどの活動をしており、3人で朗読の会を立ち上げた。
グループ名「大紫」は、丹波の森公苑を中心に保護活動が行われている国蝶「オオムラサキ」と、小さな行動が予想もしない大きな変化をもたらす可能性を意味する「バタフライエフェクト」から取った。西野さんは「3人で始めた朗読が、少しずつ広がっていけば」と言い、「いろんな声で届けられたらと思うので、ゆくゆくは若い人たちにも参加してほしい。上手に朗読できなくても、心を込めて読んでもらえたら」と呼びかける。
細見さんは「子どもたちが幸せであることを願っている。そのために本で平和を伝えていきたい」と笑顔。前川さんは「戦争については、語り継がないといけないことがある。戦争関連の朗読以外の活動では、絵本の良さを伝え、子の感受性が豊かになるとうれしい」と話している。























