ピアニスト 永井萌さん(神戸市)

2025.09.14
たんばのひと

「心のふるさと」で奏でる

2021年から、秋に丹波市を含む複数の会場でピアノリサイタルシリーズを開いている。自身は神戸市出身だが、母の千恵さん(60)が丹波市山南町井原出身で、幼い頃から何度も丹波を訪れ、ピアノに打ち込む日常の「癒やし」を得ている。

自身が生まれる前、8歳上の姉がピアノ、6歳上の兄はピアノやバイオリンを習っており、「母のお腹の中にいる時から音楽を聴いていたのかも」と笑う。

常に音楽が傍らにある環境だったのは、ほとんど演奏経験がなかった千恵さんの「ピアノが弾けたら、童謡を伴奏して子どもたちと一緒に歌が楽しめたのに」との思いからという。

幼い頃、朝起きると自ら進んでピアノを奏でた。3歳から教室に通い、友人と遊ぶよりも演奏を優先。「きょうだいがいたので、外に行かなくても遊んでくれた」。指導者から出された課題をクリアできないと、悔し涙を流して練習するほど演奏に向き合い、そして奏でることが好きだった。

県唯一の音楽科がある西宮高校を経て、東京音楽大学音楽学部器楽専攻に進学。2年時には、ウィーンで開催されたコンペティションに教授推薦で出場、2位に輝いた。

夏、冬休みは、祖父母に会うために丹波を訪れるのが恒例だった。近くのプールに行ったり、首切り地蔵尊で演奏技術の向上を願ったり。野菜の収穫も経験し、「神戸にいては体験しにくいことも楽しませてもらった。丹波は心のふるさと」とほほ笑む。

今年は10月26日、やまなみホール(山南町谷川)でリサイタルを開く。「幅広い人に音楽を届けたい。病院や学校、子育て広場などでも演奏できれば」。25歳。

関連記事