「古丹波布展―手のひらで感じる丹波の至宝」が、兵庫県丹波市青垣町佐治の称念寺で開かれている。江戸末期―明治に織られた丹波布約50点が展示されている。うち半数ほどに触ることができる。現在の丹波布より糸が細く、柔らかな風合い。この時代に織られたまとまった量の丹波布に触れられる機会は非常にまれ。浄土宗丹波組ダーナの会が、寺からの文化発信「青壮年仏教講座企画展」として開催。29日まで。無料。
大正末期に「民藝運動」の主唱者、柳宗悦に見出され、昭和30年代に産地の青垣町で復興した「丹波布」(国指定選択無形文化財)に対し、復興前の同布を「古丹波布」と呼んでいる。江戸末期から明治期に丹波国佐治で生産され、京都などに出荷された。柳が京都・東寺の朝市で見つけたのも「古丹波布」。
柳が絶賛した丹波布がどういうものか興味を持った同寺の橋本崇史住職(56)が、12―13年前から蒐集した端切れのコレクションと、橋本住職の仕入れ先の奈良・法隆寺近くの古布ギャラリーから借りた、古丹波布のウラ付き布団などが並ぶ。
端切れは同系色を数点ずつ並べている。同じ物は1つもない。手紡ぎした木綿糸を草木染めし、平織りで格子柄にする点は「復興後」と変わらない。丹波布の特長の横糸に入れる絹のつまみ糸は、量、質に差異がある。栗や藍など、現代と同じ染料を使っているとみられるが、はっきりしない。
橋本住職は、「紡績が盛んになるまでの手紡ぎ時代は、佐治で大量に作られていたと考える。すっとしぼみ、その後は細々と織られていたんだろう」と想像する。「この機会を逃せば二度とできない体験。ぜひ、『時代を超えた美』を肌で感じて」と、来場を呼びかけている。
ほかに、著名染め織り作家で、1975年から青垣町に住み、二十数年、丹波布を学んだ福永世紀子さんのコレクション(丹波布技術保存会蔵)も展示される。綴織や絣など、丹波布にはない技巧的な福永さんの「丹波紬」も見られる。
兵庫県民芸協会会員の陶芸家、前野直史さんが蒐集した、古丹波布が織られた時代の丹波焼17点も展示されている。
午前10時―午後5時(最終日は午後3時)。


























