丹波布技術者協会会長 塚口佳代さん(丹波市)

2025.09.21
たんばのひと

手織り文化でつながる

国指定選択無形文化財「丹波布」の技術を伝える「丹波布伝承館」で学び、同館の指導員を経て、卒業生らでつくる「技術者協会」を仲間たちと立ち上げて17年になる。

2年間の長期教室伝習生制度の1期生。故・足立康子さんら〝復興世代〟の第一人者から直接教わり、技術面だけでなく、「背中を見せてもらった」と感謝する。

卒業した2000年当時、販路は各自で探さなければならなかった。3期生の頃から話し合いを始め、5期生の時、卒業生をつなぐ団体として協会が形になった。“営業活動”が実を結び、京都の呉服問屋を通じて一括注文を受けられるようになり、現在は反物を年60点ほど納めている。また毎秋、問屋主催の丹波布展が京都で開かれる。

協会としては、毎年5月に新作展を丹波で開催。柏原町内の「工芸の店かぶら」の運営にも関わる。「完全に職業とはできなくても、それぞれがある程度収入を得て続けられるようにしたい」と考える背景には、元々、丹波布が農家の副業だったことがあるという。

丹波布の伝統は「手紡ぎ糸、草木染め、手織り」。全ての工程をほぼ一人でこなす。先人から教わったのは「一つひとつの作業を大事にすること」。手を抜けば次の段階でつまずいてしまうため、手を抜けるところがないという。「作品が仕上がっても、『これで満足』という終わりがない」と向上心をのぞかせる。

今年は県外他産地との交流にも踏み出した。「後継者の育成など、織り手が抱える悩みは割と似ている。みんなで良い方向にもっていけたら。これからも丹波布が織り続けられ、いろんな人に使ってもらえるものにしたい」。52歳。

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