「蛙(かえる)の宮さん」の名で親しまれている兵庫県丹波篠山市今田町上小野原の住吉神社で4日夜、伝統の神舞(かみまい)「蛙踊り」が奉納された。収穫の喜びと感謝を神に表す県指定無形民俗文化財で、丹波篠山市の三大奇祭の一つ。「ヘーツ、ヘーツ」「カエロ、カエロ」の独特の掛け声や締太鼓の音が鎮守の森に響き渡り、境内は神秘的な雰囲気に包まれた。
鶴亀模様を白く染め抜いた紺色の素襖(すおう)とはかまを着用した「小野原住吉神社神舞(しんぶ)保存会」(24人)の会員らが、約1時間にわたって「惣(そう)田楽」と「いず舞」の2つの踊りを奉納した。
共に中世の田楽の姿をよく留めた踊りで、惣田楽は稲の収穫風景を表現している。竹の短冊を88枚つなげた楽器「ビンザサラ」を手にした踊り手が、締太鼓の音に合わせて、「ヘーツ、ヘーツ」と低く唸るように発声。前屈姿勢でビンザサラを上下させたり、肩の上でねじったりしてジャラジャラと音を鳴らし、刈り取った稲を稲木にかけ、脱穀するまでの作業を踊りで表した。
締太鼓と踊り手が演奏を交代する際、「カエロ、カエロ」と声をかけたり、ぴょんぴょんと飛び跳ねて移動する所作があることから「蛙踊り」と呼ばれるようになったという。
いず舞は、田に舞い降りたツルが豊作を神に感謝し、舞を披露するという内容。両手を広げて羽ばたきのしぐさを見せた後、勢いよくジャンプする所作を繰り返し披露した。
蛙踊りは、10月の第1日曜日に営まれる「八幡祭」の宵宮に奉納される。

























