萬有流転

2011.08.31
丹波春秋

 宮城県気仙沼市の三陸新報社から最近号が届き、「丹波春秋」に相当するコラム欄「萬有流転」に、丹波新聞のことが書いてあった。▼小紙が同社発行の写真・証言集「巨震激流」のことや、篠山の柴田雅章さんが気仙沼の友人から送られた惨状の写真の展示会を開いたことを掲載した記事に触れ、「多くの市町民の繋がりが全国各地で広がっている」と結んである。▼同社は被災直後の数日間、停電で輪転機が動かないため、パソコンを自動車のバッテリーにつないでA4判刷りを避難所などに配った。筆者が4月下旬に訪ねた時も社員全員が社内で給食を受けながら仕事をしていたが、浅倉眞理社長や渡邉眞紀専務が忙しい中をあちこち案内してくださった。▼その時聞いた話の一つが、市内の水産加工業者、斉吉商店らが募っている「被災地応援ファンド」。斉藤和枝専務の苦境にも屈託のない笑顔に打たれ、早速投資の申し込みをした。その後、仮工場で生産を再開した佃煮製品「金のさんま」がお礼に届き、先日には「オーブンや真空包装機が到着。うれしくて機械をなでてばかりしています」とのメールが届いた。▼同市には同名のよしみで篠山市「大沢」地区の住民が支援活動を始めている。萬有流転。多くの大切なものを流し去った津波が、また新たなものを引き寄せた。 (E)

 

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