与野党

2017.11.02
丹波春秋

 衆院選の結果、陰りが見えていた“安倍1強”体制はそのままで、国会の構成は民進党が母体は残したまま分裂するという複雑な形に。ドタバタがなければ、与野党の勢力図は少し違っていたかと思える。

 それはともかく、安倍政権が持続する構造的な要因の1つに、「若者の保守化」現象が挙げられそうだ。内閣や自民党支持率についての調査では大抵、18歳~30歳代が40歳代以上より高い。「野党の政策はどこか理想主義的で、現実的な対応をしてくれそうな自民がよく見える=予備校生」(10月9日号毎日)らしい。

 中西寛・京都大教授は、新たに若年層が自民党支持層になった事情について、「昭和を知らない世代が『安倍政権になって社会・経済が安定した』と認識しても不思議ではない」と述べている(10月25日号同)。

 世の中は低成長のもとでも、一昔前までに比べればはるかに豊かになっている。ただ、アベノミクスの行方には大きな落とし穴がはらまれているように筆者は予感している。中西氏も「仮に経済危機になれば、若者が自民に定着していくかどうかはわからない」と指摘する。

 並みいる野党に理想主義を脱し、かつ「是々非々」ではない、しっかりした理念に基づいた上での現実に即した独自政策を練り上げるよう望むのは、理想論過ぎようか。(E)

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