上高子さん

2012.02.02
丹波春秋

 9年前にNPO「アジアの新しい風」を立ち上げた丹波市出身の上高子さんが、NHK「ラジオ深夜便」でインタビューを受けた。アジ風は中国・清華大などタイ、ベトナムと合わせ3つの大学に日本語教師を派遣するほか、日本の会員が向こうの学生にEメールで日本語や日本文化について教えている。▼各大学に訪問して交流したり、課題図書の読後感想文コンテストを行うことも。日本に留学する学生も増え、会員らと一緒に東日本大震災の被災地へボランティア活動に行った。▼英文科で学び、航空会社を退職後、日本語教師としてアメリカに1年滞在した上さんは、かつて「外国=欧米」と考えがちだったが、ある時、「福沢諭吉の『脱亜入欧』の功罪」という講演を聴いて衝撃を受け、アジ風の活動を思い立った。▼アジアの学生と付き合っていると、過去の歴史に向き合わなければならないことを教えられる。日本文化だけでなく、丁寧語ひとつをとっても、なぜ「お手紙」と言うのに「おメール」とは言わないのか、日本語を見つめ直す機会にもなる。▼「同じアジアでも人々の考え方、気風は実に多様。でも絶対正しいというものはない。異なる環境、文化のもとで育った人間同士がいかに理解し合っていくか。それが『多文化共生』ということだと思いますね」。(E)

 

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