「死」を見つめる

2012.02.11
丹波春秋

 本紙6面に掲載している春日部小6年、丸山華桜さんの作文に心ひかれた。肝臓がんのため62歳で亡くなったおじいちゃんを通して、死を見つめた作文だ。なぜ人間は死ぬのか。自分も最後には死ぬのかと考え、死に伴う痛みを想像する。作文の題名の通り、夏休みのいい体験になったと思う。▼神戸連続児童殺傷事件を起こした14歳の少年を思い起こす。少年が「大事な存在だった」という祖母が夜中、病院で亡くなったとき、母親は「明日、学校だから」と病院に連れて行かなかった。死から遠ざけられた少年は、頭で死を考え始める。▼「死とは何か」を知るために小動物を殺し始め、やがて人へとエスカレートしていったという。もし少年が祖母の死に直面し、死をまっすぐに見つめていたならば、どうなったかと思わずにいられない。▼ドイツの小学生用教科書では、人の死について克明に書かれているという。死は恐ろしく、苦しいもの。死体はどういうプロセスで腐敗していくのか。人が死んだとき、家族らはどれほど悲しむのか。「死の教育」を幼いころから徹底的に行っているという。▼丸山さんは作文で、涙がこぼれそうになるほどに死を見つめたことで命の大切さがわかったと書いている。死の教育とは、命の重みや生きる意味を考える教育なのだ。(Y)

 

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