平清盛

2012.03.15
丹波春秋

 大河ドラマ「平清盛」では、我が敬愛する西行(俗名佐藤義清)に注目しているが、いよいよ出家の時が来て、前半のハイライトが終わったように筆者には感じられる。▼出家の背景には、皇妃、待賢門院璋子とのかなわぬ恋があったと言われるが、ドラマでは創作と思われる部分がいまひとつそぐわず、的確に描けていない。璋子のイメージも、ああいうふっくら顔(檀れい)でなく、むしろお付きの堀河局つぼね(りょう)のようなほっそりした顔の方が合っているように思う。▼勝手なことを書きついでに、主役の清盛。松山ケンイチは悪くはないが、肩に力が入り過ぎ。井戸知事が「画面が汚い」とか言われたというのは、少~青年期の清盛のはみ出しぶりへのとまどいからだったのでは。▼違和感は筆者も同様。あれでは、まるで織田信長だ。中国貿易に目を向け富を築いたことや、南都の寺を焼き払ったことなど、後年の清盛は確かに信長に似ているが、あの境遇で大人たちに反抗心をむき出しにできただろうか。▼帝を取り巻く公卿たちの会話も、あまりにストレート過ぎ、却って彼らの底意地悪さが伝わってこない。複雑な人間関係を示すためにせよ、いささかうんざりさせられる。とは言えこれから、剃髪した西行、また出世街道を突き進む清盛の変貌ぶりを見守りたい。(E)

 

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