リサイタル

2012.07.12
丹波春秋

 丹波の森ホールで開かれたデビュー25周年リサイタルで、足立さつきさんが熱唱した。筆者らは昨秋に実行委員会を立ち上げて準備を進めてきたが、客席をぎっしり埋め尽くすことが出来、アンコールが3曲続くほど拍手をもらって、感謝感激。▼「最も私らしく表現できる曲目」として彼女が組んだプログラムは、第1部がフランスの歌曲やオペレッタから。メサジェの「恋人が二人」の「男ってバカねぇ」というセリフがおかしく、甘くせりあがっていく歌いは何とも色っぽい。第2部の日本の歌で山田耕筰のインド民話を題材にした「芥子粒夫人」では、30分にも及ぶ曲を5役演じ分けた。▼馴染みの薄い曲が多いのに、客はしわぶき一つせず彼女の声に聴き入った。ふる里の大勢の友人知人を前に気分が乗りに乗ったからには違いないが、「賭けかもしれないが、敢えてごあいさつは後に回し、まずは音楽にどっぷり漬かっていただきたい」との彼女のねらいは当たったようだ。▼素顔は「真面目」そのもののオペラ歌手さつきを、変身願望のようなものが支えている。「これからは、ただ張り詰めるのでなく、最後に『なんちゃって』と付くような、ふと力が抜けるやり方を心がけたい」。▼実行委の打ち上げ・解散式で「50周年まで歌い続ける」という彼女にエールを送った。(E)

 

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