ジィーシーエム社長 高見 進 (たかみ すすむ) さん

2004.08.22
たんばのひと

独自のブランド確立
ジィーシーエム社長 高見 進 (たかみ すすむ) さん (宇治市在住)
 
1937年 (昭和12年) 市島町岩戸生まれ。 柏原高校卒。 宇治商工会議所常議員。
 
 市島町内で和牛飼育と同町内や京都府宇治市で食肉店、 レストランを営む。 電話会社からの転身で、 「神戸高見牛」という独自ブランドを切り開いた。
 高校を卒業後、 電話工事会社の社員を経て、 30歳で独立。 ちょうど、電話が手動式からダイヤル式に変わる時で、 順調に事業が進み、 10年後には社員、 下請けを合わせて100人を抱えるまでになった。
 当時、 社員などの食事を賄うおばさんを車に乗せて、 買い物に行っていたが、 食肉店の繁盛ぶりが目に止まった。 「これからは、 日本人も肉をよく食べるようになる」 と直感。 生まれ育った丹波は但馬牛の産地、 もともと牛が好きだったこともあり、 「食肉店をやろう」 と方向転換。 「経験がないのに無理と、 ほとんどの家族や親戚は反対しましたが、 父親だけが賛成してくれました」 と話す。
 「近鉄大久保駅前に空き店舗を借りることができ、 商店街の20店舗すべてが埋まるまで、 頭金も家賃も要らないという条件。 本当にラッキーでした」。 その後、 近くの市場へ苦労の末に出店したが、 数年後さらに、 駅前に開店した大型店に店を出した。 「市場の店は順調でしたので冒険だ、 と周囲には反対されました。 結果的には大型店がはやると市場は衰退したので、 やはり出店は間違いなかったと確信しました」 という。
 浮き沈みを何度も経験して得た教訓は、『ピンチの時にチャンスが生まれる』『お金は追いかけると逃げる』。 宇治市と市島町を長年往復してきたが、 最近は同町酒梨の牧場兼事務所にいる事が多くなった。 「肥育牛1100頭、 繁殖牛40頭を飼育しているが、 繁殖牛を150頭にしたい」 とまだまだ事業意欲は旺盛。
 食肉の偽装表示など不祥事が続き、 業界に対して向けられる目は厳しい。 「消費者の目線を意識して良いものを作りたい」 と表情を引き締める一方、 「牧場で働きたいという若い人が増えてきたのはうれしい」 と口元をゆるませた。

(臼井 学)

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