コートジボワール、トリニダード・トバゴ、トーゴ…。

2006.12.27
丹波春秋

コートジボワール、トリニダード・トバゴ、トーゴ…。サッカーのワールドカップに耳慣れない名前の国が登場するので、地球儀が売れているという。筆者も「世界の作家32人によるワールドカップ教室」(白水社)という本を買い込み、お国柄を探った。▼いずれも初顔のコートジボワールにトーゴ、それにガーナは西アフリカの海岸部に三つ並ぶ。コートジボワールの優秀な選手は皆、かつて支配されていたフランスに流出。同国への不満が渦巻き、また北部のイスラム教勢力と内戦状態が続いているが、ワールドカップ出場が決まった時ばかりは、国民が一つになった。▼トーゴでは40年近く独裁を続けていた大統領が死に、二男が後を継いだ。暴動が起きかけたが、幸運なことにサッカー協会元会長だった三男が晴れ舞台への出場を発表し、ひとまずセーフ。▼もう一つのアフリカの国、アンゴラも、国内に広がる戦場で人々は古カバンにボロを詰めたボールを蹴り合い、そこだけが非武装地帯だった。ガーナを除き予選で全滅したこれらの国々が、4年後の南アフリカ大会にカムバックできる保証はない。でも力は確実につけていくだろう。▼国民の所得が十倍をはるかに上回る金持ちで、内戦や暴動もない日本がそれ以上に強くなっても、決して不思議ではないのだが。(E)

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