小学校の統廃合についての大野昶さんの意見がおもしろい(本紙6面「自由の声」)。何でもかんでも改革という昨今の風潮を指摘した上で、改革の視点から小学校の統廃合を論じるべきではないと釘を差している。▼文藝春秋1月号で、作家の半藤一利さんが「時代を読み解くキーワード」として、「雀の子そこのけそこのけ御馬が通る」をあげていた。「雀の子」とは改革のこと。中央でも地方でも改革がはやり、改革に異議を唱えようものなら抵抗勢力の烙印がおされる。改革という言葉に、錦の御旗のような圧力があるご時世だ。▼ひとつの言葉に浮かれ、世情が動く。こうした現象を哲学者の池田晶子さんは次のように批判する。「新たなスローガンを与えてみよ。自ら考えることを初めから放棄しているこの動物は、喜々としてそれを担いで歩くであろう。政治とは、まさしくこの種の動物の群れを、思う方向へと誘導すべき術ではなかったか」。▼改革は手段であり、目的ではない。何らかの目的があってこその改革であるのに、改革すること自体が目的になっていないか。政治の力によって、我々がそうした傾向になだれ込んでいるとしたら恐ろしいことだ。▼改憲が論議されている。一部政治家が与えるスローガンに大衆が誘導されそうな危なっかしい時代の空気を感じる。(Y)