年輩者が描く自分の子ども時代のイメージは、貧しくひもじくても総じて明るい。

2006.12.19
丹波春秋

年輩者が描く自分の子ども時代のイメージは、貧しくひもじくても総じて明るい。お日様の下で仲間とたわむれながら遊びほうけた姿を思い浮かべるのが一般的でないか。親は子どもにかまう余裕がそれほどなく、それをいいことに伸び伸びと羽が伸ばせた。▼それに比べて現代の子どもはどうだろう。競争をあおられ、勉強に追われる。室内にひとりこもってゲームに興じる。子どもに寄せる親の期待は強まり、ときには監視に近い視線が向けられる。今の子どもは、息苦しい環境に置かれているのかもしれない。▼子どもが親や同級生らを殺害する一連の事案を、小説家で精神科医の加賀乙彦氏は「拘禁反応」という観点から分析する。拘禁反応とは、刑務所など強制的に自由を阻害された環境下でみられる反応で、ストレスから異常な行動を起こすという。▼加賀氏は、拘禁反応ほど激しいものでないにせよ、息苦しい環境に今の子どもは何がしかのストレスを抱え、「キレる」という爆発的な行動をみせると指摘する。▼いじめ問題の報道が続く昨今だが、いじめをなくす一番よい方法について河合隼雄氏は「いじめにせっかちに対処するのでなく、子どもたちに伸び伸びとした楽しい生活を準備すること」と書いている。拘禁状態から子どもを解放することが求められる。(Y)

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