松坂、岩村、井川と、今年のオフも多くのプロ野球選手が米大リーグに渡ってゆく。レッドソックスは松坂を出す西武に60億円払うとかで、向こうの球団のスケールの大きさに度肝を抜かれた。▼これは松坂の技量、活躍の可能性がそれ程までに評価されたということだけを意味しない。野茂以来、イチローや松井、城島に続く日本人選手の、出稼ぎ目当てではない「求道」ぶりが、認められているということだと思う。▼捕手として初めて米球界に入ったマリナーズの城島は、NHKによると、日本と異なり投手主導で球種を決める慣行の中で相当苦労したらしい。速球に自信を持つ投手は、変化球を要求してもがんとして応じず、出すサイン、出すサインに首を振っていた。▼状況を変えたのは6月のある試合。一死満塁でライトへの大飛球を捕った盟友イチローが、矢のような返球をホームにし、城島は3塁から突っ込んで来た走者に空中にふっ飛ばされながら、それでも球を離さずタッチアウトにした。思わず投手が城島に駆け寄ってきた。それ以来、彼は一目置かれるようになったという。▼米国人の友から「優秀な選手がこちらに流れて気の毒だね」と言われたことがあるが、そんなことはない。彼らがまた一回り大きくなって帰って来れば、それが日本球界にきっとプラスになる。(E)