遠来の客を観光案内して必ず行く場所の一つに、水分れ公園(丹波市氷上町)がある。

2006.12.27
丹波春秋

遠来の客を観光案内して必ず行く場所の一つに、水分れ公園(丹波市氷上町)がある。本州で最も海抜の低い、街の中を走る「谷中(こくちゅう)分水界」を実感してもらうためだ。▼高谷川右岸の道を歩きながら、「この路面の右側に流れる雨水は瀬戸内海、左側に流れる雨水は日本海へ」と説明し、同川と農業用水路の分岐点にある「日本海へ70キロ、瀬戸内海へ70キロ」の標識の前で記念撮影。▼とどめは、水分れ資料館の水の出る模型。「もし海面が100メートル上昇すれば」という仮想で、水分れの所で日本海と瀬戸内海がつながり、日本列島が2つに分断する様子が一目で分かる。考えようによっては深刻、残酷な模型ながら、大抵の客が「ほう…」と見入ってしまう。▼さて、この模型に付いている、谷中分水界を説明したビデオ放映機が数カ月前から故障し、音声しか出ない状態が続いている。市教委に聞くと、「ナレーション中の『氷上町』が丹波市になったことでもあり、この際、装置を一新したいが、お金がかかるので来年度以降になる」とのこと。▼しかし、故障したままでは、いかにもみっともない。「入場料を払ったのに」と、腹を立てる客もいるという。河合雅雄・隼雄兄弟も絶賛された、戦略的価値を持つこの観光資源。一新は大いに結構だが、そんな悠長なことでいいのか。(E)

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