かゆ占い

2007.02.01
未―コラム記者ノート

 市島町の折杉神社で年に一度行われる「かゆ占い」を取材した。「管試祭(くだためさい)」が正式名称で、一年の農作物の豊凶と天候を占う神事。境内でかがり火を焚き、炭を取り出してかゆ鍋を炊く。沸騰した鍋に十三種類の農作物を示した竹管を入れ、中のかゆ粒の量で「出来」を判定。また炭の上に樫の駒を十二個並べ、その燃え方で晴雨を読む。 神事は普通、厳かなものだが、この占いは何とも大らかなもの。氏子当番さんたちは「駒は右左どっちから並べるんやったかいな」「もうそろそろ判定してええ頃ちゃうか」などといった具合で、終了時間を気にする人もいない。 ずいぶんいい加減な占いにみえるが、氏子の話では「結構当たる」らしい。天気予報もなかった昔は、占いが頼りで結果に一喜一憂していたのだろう。その頃の神事は、おそらく厳かな雰囲気だったに違いない。 この日は、氏子の他に数人のアマチュアカメラマンが撮影に来ていて、盛んにシャッターを切っていた。研究用にビデオを撮っている大学院生もいて、ギャラリーはなかなかにぎやかだった。 かがり火にあたりながら、かゆ占いは今や本来の意味は薄れ、「伝統文化」という新しい価値に置き換わったのだなとぼんやり思った。(徳舛 純)

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