篠山町農協と丹波農協が10月に合併し、「丹波ささやま農協」がスタートする。両農協がそれぞれ開いた臨時総会で合併が承認され、新農協発足に向けたスムーズな準備、調整を待つばかりとなった。 組合員の声を拾うと、きめ細かな営農指導を求める意見が多かった。今の農協の姿を「金融屋」「商社のよう」と皮肉りながらも、農家の視点に立った本来のあるべき姿に戻ってほしいとの強い願いや、新農協への期待が感じ取れた。 「『きめ細かな』という点では、メーカーの社員の方がよく顔を見せる」と話した組合員もいた。農協離れという言葉を耳にするようになったが、「現状を打開したい」という深刻な思いと、身近な相談窓口だったはずの農協との間にギャップが生じ始めているのが原因のように感じた。 財政基盤を固め、多様化する組合員のニーズに対応するためには、合併は避けて通れない。「県下七農協構想」に沿えば、丹波ひかみ農協との合併も視野に入れなければならず、篠山2農協の合併は「通過点」とも取れる。 組織がいくら大きくなっても組合員が望むのは、きめ細かな営農指導やサービス。豊かな自然と、豊富な産物に恵まれた地域だからこそ、農家の声が届く風通しの良い組織や体制となるよう期待したい。(芦田安生)