オンブズマンというと、不正が起きていないか監視したり、間違いを正したりする人のことを指すと思っていたが、本来は「代弁者」という意味だという。 篠山市の知的障害者更生施設・丹南精明園が、全国的にも例の少ない「福祉オンブズマン」を導入しようと準備を進めている。同施設の宮本昭男園長は、「『糾弾者』というイメージでとらえられがちだが、そうではない」と話す。オンブズマン制度がなくても、質の高いサービスが提供されるのに越したことはない。だが、職員と利用者だけでは見えない部分もある。そこで、施設外の第三者に施設利用者の声を聞き、代弁してもらうのだ。 施設独自のものなので、福祉制度自体の問題などには対処できないが、「まずは小さな苦情が大きくなる前に対応できるようにしたい」という。 今年4月からは措置制度が支援費制度に移行し、『利用者本位』のサービスになると言われるが、一朝一夕にとはいかない様子。それでも、こういった前向きな動きが積み重なることで、実現していくと期待したい。 利点の一方で、この制度が職員を萎縮させるおそれが考えられ、「もろ刃の剣」という面もある。それでも、そもそもこのアイデアが職員から出されたものだそうで、逆にいい刺激として受け止められるのではないだろうか。この取り組み、ぜひ成功させてほしい。(坂本守啓)