サクラの便りがあちこちで聞かれ始めた。実家の近所にある堤防を歩いていると、サクラ並木をなす木の根元に子どもの名前が書かれた木札が置かれていた。数年前に、子どもたちがその苗を植える際、その様子を取材した。小学生でも簡単に持ち運べた苗は、今では仰ぎ見るほどに成長し、つぼみを膨らませている。 このところ、病気や害虫の影響で、サクラの木が病んでいるという話をよく聞く。また、木の根元を人が踏み固めてしまったり、傷をつけてしまうのも木には悪いらしい。毎年、当たり前のように咲く花びらも年々、そのつややかさを失っているのかもしれない。 篠山市の名所の一つ、篠山城跡の濠周辺、王地山公園、篠山産業高校前などのサクラ並木は30年以上も前から、篠山商工会青年部が年に3回、薬剤散布などを行い、大切に世話をしている。 丹波地域の名所と言われるところでは今週末からイベントが計画されており、多くの花見客を集めそうだ。古来から人はサクラにひかれ、集う。サクラを楽しむ催しは活発に行われ、賑わいを見せているが、合わせて篠山商工会青年部のように、保存していく取り組みが広がることを期待したい。 来年も、何十年後の春も、当たり前のように春を告げるサクラを楽しむために。(芦田安生)