いよいよ田植えが始まり、茶摘みも始まった。山は新緑がまぶしく、あぜ道には野草がやさしく揺れている。丹波人1年生の私にとって、この田園風景は新鮮で、毎日感動している。そうした風景は、太陽、大地、伝統などと日々「対話」する仕事人の手によって育まれていることを知ると、さらに感動してしまう。 最近「スローライフ」や「スローフード」という言葉をよく耳にする。「時は金なり」的な暮らしやファストフードを考え直そうとする動きである。丹波ではゆったりとした時の流れを感じる場面が多い。先代から受け継いだ文化、風土、特産物、自然、歴史的遺産など。 丹波県民局では、2003年度の重点目標で「スローツーリズムの地・丹波のPR」を挙げている。観光や交流施策に「スローツーリズム」の言葉を使っているのは、県内では丹波だけである。「丹波の魅力をじっくりと味わい、かみしめる」スローツーリズムの推進は、観光関連業の促進だけでなく今ある丹波の魅力を住民ひとりひとりが再発見するいい機会だと思う。 一方、都市旅行者は余暇を消費するだけでなく、余暇を利用して人生を豊かにする旅行を望みつつある。丹波にはその資産がたくさんある。都市と丹波の互いのニーズが合ったとき、理想的な旅行地となるだろう。(坂井謙介)