丹波の各高校で卒業式が行われ、教員や保護者、在校生らに祝福されながら1400人が巣立っていった。篠山産業の本校と篠山鳳鳴を取材したが、どちらも静かでおごそかな雰囲気の式が行われていた。2月のまだ寒い空気に身が引き締まる思いがするのも、式を演出する一つの効果になっていたのだろうか。 卒業式や入学式だけでなく、さまざまな式典やセレモニーというものは「表面的で中身がない」と批判的に言われることもあるし、今年も話題になった“荒れる”成人式のように、式典が成り立たなくなってきたという問題もある。 自分の中学や高校時代を振り返っても、式の最中「退屈だから早く終わればいいのに」と心の中で思っていた。今でも、何かの会であいさつや祝辞が長々と続けばうんざりする。 しかし今回、第三者として卒業式を取材し、「こういうのはなかなかいいもんだな」と感じた。これまでに取材で出会った高校生の元気な様子から、結構ざわついた式になるのでは、と思っていた。だが私語もなく、厳粛なムードで進められる式を見て、こちらも背筋が伸びる思いがした。 式が終わり、会場の外に出ると一転、笑顔があふれ写真を撮り合っていた。やはり決めるところは決める。メリハリの美しさを再確認させてもらった。 (坂本守啓)