丹波布

2007.02.01
未―コラム記者ノート

 青垣町の丹波布伝承館で開催中の「新人創作展」を見に行った。おととしの春から丸2年間、伝統の技法を学んできた「伝習生」7人による卒展は、丹波布の可能性を軽やかに見せてくれるものだった。 丹波布は、天然染料で染色し、手紡ぎ、手織りと一貫した手作業で仕上げたもので、絹糸をつまみ糸として緯糸に入れるのが一般的な特徴とされる。青垣町佐治の農家で明治末期まで盛んに織られていたこの布は、昭和初期に日本民芸創設者・柳宗悦によって「発見」され、工芸芸術家・上村六郎氏の指導で昭和28年に再興されて現在まで受け継がれている。 今回の新人展には、デザインの好みからつまみ糸が入っていない作品もいくつかあり、昔は使っていなかった「アカネ」という天然染料も使ったという。くまのぬいぐるみの帽子なんてのもあり、“国指定無形文化財”からは少しはみ出しているかもしれないが、伝習生の一人は、「ニーズに合わせてより身近になった」のだと話していた。 伝習生たちは、卒業後は自由に自分の商品を販売できる。この地で身につけた手織りの技術をもとに、現代社会の中でいきいきと仕事をしてほしい。そして、伝統の枠に縛られず、丹波布の魅力を高め、伝えていくことが伝承館の使命でもあると思う。         (徳舛 純)

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