「丹波弁」についての話題はどんな場所でもわりと盛り上がる。地元の人も移住して来た人も、それぞれ一つや二つはエピソードを持っているようだ。 多可郡から隣の山南町へ嫁いで来た女性の話。氷上郡の相づち「そうけー」を「トローンとして間が抜ける」と言う。播州ではこんな返事をすれば“本心はどうなのか”と思われるのだそうだ。 丹波でも篠山市と氷上郡では異なる部分が多いし、氷上郡内でも特徴があるのが面白い。例えば春日町でよく聞く「やれ」という語尾。「らしいやれ(らしいで)」という風に男性が使うのだが、他ではあまり出会わない。 篠山市のホームページでコラムを連載していた圓増亮介さんによると、「言葉は街道沿いに伝わる」。このため、昔宿場町のあった篠山東部の辺りでは京都弁が残っており、味噌は「おむし」、もちは「あも」と言うそうだ。方言の分布を詳しく調べてみたら面白そうだ。 「勧誘を断る時などは関東弁でしゃべります」と圓増さん。「感情を入れずに話せるから」だそうだ。言葉と文化は一体だが、言葉と感情も確かに連動するものだ。丹波弁を使いこなせるよう技術を磨いた上で、丹波弁に限らず自分の感情を伝えるのに一番ぴったりくる言葉を探しながら話すように心がけたい。(徳舛 純)