多可郡加美町在住の木工作家、笹倉徹さんの作品展が19日、氷上町石生の料亭旅館「大和」で開かれる。 笹倉さんは兵庫県民芸協会の会員で、阪神間に多くのファンを持つ作家。作品は洗練されていて、丁寧に塗られた漆が重厚感を醸し出す。 親交のある滝川秀行・西楽寺住職(柏原町)はホームページ「髭の和尚がやって来る!」で、「実用を常に念頭に置きながら、『健康な遊び心』を失わないのが彼の良さである」と紹介している。 作品展に先立ち、主催者の「素交会」が笹倉さんのミニ講演会を開くというので聞きに行った。 「ほんとはもっとスマートなものを作りたいが、ケヤキに漆、の“存在感の強さ”に負けてしまったのかなと思う」と笹倉さん。「一枚板をひけらかすような仕事はしたくないが、木そのものの持つ生命力にはかなわない」とも。また名木はあまりなじめないと言い、「材料と自分の仕事の接点が、まだそこまでいっていないのかもしれない」とおだやかに話したのが印象的だった。 「自分」と木(材料)、作品の微妙な関係を常に意識し、作品づくりに取り組んでいるのを感じた講演だった。身の丈に合った記事しか書けない、という意味で、記者の仕事も同じである。(徳舛 純)