篠山市議会の正副議長選挙が終わった。「会派は政策集団」。最大会派の新政会(9人)、次に所属議員が多い青藍会(8人)の両会長が、選挙前に強調していた言葉とは裏腹に、会派色の強い内容となった。会派は数合わせのためのものであってはならないとする声も議員から聞かれたが、結果として「数の論理」が通った。 所属議員が多い2つの会派が一人ずつを推し、少数会派の票が上積みされるという大勢の見方通りとなった。少数会派に所属する議員が副議長に選ばれ、最大会派から正副議長が出なかったという一見意外な結果からは、少数会派を取り込むための激しいかけひきの跡がうかがえる。 今回の結果を見て懸念されるのは、「ポスト争いイコール会派を構成する議員の数」という悪しき傾向を作ってしまったのではないかという点。さらに今後の審議において、少数派の声が埋もれてしまうのではないか、という点。そうなってしまうと、市民にとって政策提案までの過程や、議論の中身が見えにくいものになってしまう。 一日の臨時議会を終えた議員たちは口々に「疲れた」と苦笑いを浮かべていた。予断を許さない市の財政、通学区の見直し問題、人口六万人構想など、市の課題は山積している。会派が良い方向に機能し、疲れが出るほどの活発な議論が生まれることを望む。 (芦田安生)